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命の終わり

10月28日の朝、ワイフの母が永眠しました。
ようやく最近、お葬式など済ませ、少しずつ日常を取り戻してます。

この8月突然、多くの人が怖がる病気になってしまい、余命半年と宣告されました。
全く元気にしていたのにです。
『寝耳に水』とか『青天の霹靂」なんて表現が生やさしく感じるほど、もう本当に頭真っ白状態。

ちょこっとコーコク

病気発覚後間もなく、緊急に近い形で手術をしたのですが、状態は思っていたより悪く、最低限やれることはやった上で、今度は「余命3ヶ月」と宣告されました。
術後も本格的に治療に進みたかったところですが、回復も思わしくなく、そのまま一進一退の日々で、やがて体力が落ちていってしまったという感じです。
あとになって思うと、術後の段階で医者に言われた『余命』は、かなりの精度だったと言わざるを得ません。

ボクもそれなりにネットで病気のことを調べ研究を深めたのですが、現実はもっともっと厳しかったという印象ですね。
結果何もできませんでした。

ここで病気の具体的なことや、手術や薬についてのボクなりの見解などは控えようと思います。
今もどこかで真剣に戦っている人たちを惑わせてはいけませんし。

書き残したいのは「その時」の話。

お義母さんが入院していた病院は、ボクらの家からも近いところだったこともあり、わりと頻繁にお見舞いに行っていました。
ボクが最後にお見舞いに行ったのは、10月23日の土曜日の夕方で、一応まだお義母さんとも会話はできる状態でした。
が、やはりこのひと月前くらいと比べても、声も小さくなり、随分と衰弱が進んでしまっている様子です。

予定として、次の火曜日に退院するという話でした。
それはもう、良くなったから退院するという展開のものではなく『最期は自宅で』という意味での退院です。
もう病院には来ないのです。

翌日の日曜日は、子供の昼寝が思うようなタイミングでなかったので、家を出られず、ボクは子供と自宅待機し、ワイフだけがお見舞いしてきました。
あとで聞くと、この日もさらに難しい段階と感じさせるようになってしまったとのことでした。

退院の火曜日。
朝から酸素注入がされ、かなり思わしくない状態という連絡がありました。
一瞬ボクはその知らせを聞いて、退院延期かなと思ったのですが、いやいややはり退院。
ここはもう、お義父さんをはじめとする患者家族の意志です。
病院ももう止めません。
意志を尊重してくれるという感じです。
代わりに、搬送中に何かあっても責任は取れないとのこと。

ワイフも付き添いつつ、厳戒態勢で自宅まで搬送したそうです。

夜、ボクも労働の後に、お義母さんが帰ってきているワイフ実家へ行きました。
お義母さんは、もう意識が半分なく、意志の疎通はできなさそうな様子です。
時折少し口元が動く程度です。
こないだのお見舞いから、本当にあっという間に進んでしまったという印象でした。

在宅医療の先生は、もう昏睡状態という段階で、瞳孔も半分開いて、この状態で今晩に最期を迎えるか、あるいは2週間ほどもつか、というような説明してしていたそうです。

来るところまで来たということです。

夜も更けてきて、子供は寝る時間となりました。
お義母さんは、ウチの子供含めて3人の孫がいます。
一番上の子が小学3年、その下に小学1年、そして2歳です。
孫たちが順番にベットのお義母さんに「おやすみ」を伝えます。
すると、それまでの様子とは見違えるほどの反応がありました。
口を動かし、何かを話そうとしているくらいにも見えます。
ウチの子は、小さいので介護ベッド脇に抱っこしてお義母さんに近づけると、それまで動くことのなかった腕がすーっとあがり、小さい孫の体に触れようとします。そして、ボクの知る限り、それまで目も半分閉じたような姿ばかりだったのですが、その瞬間だけは目もグッと大きく見開いて、探すように視線を孫に向けていました。
孫パワーは凄いなと。

その後ボクは、翌日の労働のこともあり、一人で自宅へ帰りました。

翌日。
ワイフとこまめに連絡とりつつ、落ち着かない日中を過ごしたのですが、夜になり再びワイフの実家に着く頃は、お義母さんは、少し体温が低めになり、血圧も低下気味になってしまっています。
その日がとても寒かったことも少し影響があったかもしれません。

ただ、小康状態という感じということもあり、その夜もまたボクだけ帰宅の予定だったのですが、お義父さんたちに、もう今夜は泊まっていくように言われ、そのまま滞在することになりました。
あとになって思うと、ここは分かれ目です。

そして10月28日の朝。

ボクは一度家に帰って着替えやらをするつもりだったので、わりと早く起きました。しかしワイフはそれよりも早く、お義母さんのいる部屋を行き来している様子です。

「お母さん、危ないかも」

そうワイフの口から聞き、お義母さんのベットのところまで行ってみると、確かに1回1回の呼吸が非常に危うく見えます。
大きく吸っては吐いて、ギリギリ呼吸を保っている感じですが、リズムはほんのわずか不安定で、何かの拍子に止まってしまいそうでもあります。
ワイフの義理の姉にあたる人は看護士をやってるので、この局面でも頼りになります。
時折、脈を取りつつ、経過を観察しています。
そして、いよいよ危険であるということを在宅医療の先生に連絡しました。
ただ、連絡といっても、あくまで状況の連絡というだけで、実際に駆けつけてもらうという話ではありません。

7時を少し過ぎた頃でしょうか。
疲れているお義父さんは少しだけ仮眠中でしたが、ぞろぞろと他の家族が集まってきました。
ウチの子供もゴニョゴニョしつつ、起きました。

お義母さんのベッドの周りに、椅子を運び、送る体制となります。
やがてお義父さんも起きてきます。

皆、ベッドの周りでお義母さんを見守ります。
お義母さんの指先が少し冷たくなってきて、爪の先の色にも生気が失われてきました。
それでもお義母さんは懸命に呼吸を続けます。

やがて、お義父さんはどこいったという話になってきました。
起きたはずですが姿が見えません。

少しして、ようやくお義父さん登場。
これで、お義母さんにしてみると、夫、息子、息子の嫁、娘、娘の旦那、そして孫三人と、普段一番頻繁に顔を会わす家族が全員揃いました。
お義父さんどうやらトイレにいたようです。

それから10分、15分した頃でしょうか。
まるで全員が揃ったというのを待つようにして、いや、まるでお義父さんがトイレから戻って横に来るのを待つようにしてから、お義母さんは静かに最期の呼吸を終えました。

とても静かな最期でした。

その後連絡した先生が到着後、正式に死亡確認がされたのですが、死亡時刻はボクらが看取った「7時57分」ということになりました。

そして次にお葬式の打ち合わせがはじまり、もの凄い勢いでドタバタと準備がすすみます。
きっとこの忙しさが、直後に襲ってくる悲しみを紛らわす為のシステムなのでしょうね。

お義母さんのその病気、いわゆる「痛い」があると聞いていたのですが、結局そういった様子もなかったので、その部分だけは本当に救われました。
もちろん無念は山ほどでしょうが、自宅で家族に看取られ、苦しまず逝くというのは、なかなか簡単ではありませんよね。
「よかった」と言ってはいけないのですが、やはりそういう方向の感情ではあります。

ボクにしてみると、さんざんお世話になっておきながら、これといった恩返しもできてないような部分も多く、悔いが残ります。
今は、お義母さんが望みそうなこと、喜びそうなことを思い出し想像して、少しずつ実現してみようと思います。

というわけで、米林ジャーナルにしては重い側面もあるお話でしたが、このところ没頭していたことですし、いずれ時間とともに薄らいでしまうので、ほんの少し残しておこうと思った次第です。

四十九日法要終えるまでは、更新も休業しようと思います。
次の更新は、とびきりハッピーなことを書けたらと思いつつ。

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コメント(4)

更新が無かったので何かあったのかなぁなんて思ってました。
大変な事が起こっていたのですね。

人間の生や死ほどドラマチックなものを他にあるのでしょうか。
子供が産まれる事、親類や友人が亡くなる事は人生の最大行事だと思います。

yoneさんの文章を読んで20数年前に死んだ妹の事を思い出しました。
病院での慌しさや周囲の騒々しさなんかが甦ってきました。
でもその時僕は幼かったので忙しそうな周囲を傍観していただけです。
しかし医師の余命宣告の正確さには驚きました。ほぼピンポイントでした。

もう一度読み返してみたのですがyoneさんが誤って?『妻』と書いてしまっている箇所はありませんね。なんという徹底ぶり。おそらく過去の記事にも無い事でしょう。
普段奥様を何と呼んでいるのでしょうか。気になるところです。

オリバー | 0000年12月 0日 00:00 |返信

こんにちは。
若い人の死はさらに大きいものがありますね。

ワイフの件ですが、
リアルの生活でも普段から他人に妻を指す時は「ワイフ」なので、間違えませんよ。
人はこれを聞くと奇異に感じるようですが、ボク自身の中では定着し過ぎてしまった呼び方なので、
かなり自然に出てきます。

yone | 0000年12月 0日 00:00 |返信

いいですね、ワイフ…真似しようかな。実は以前から羨ましかったんです。

妻を呼ぶ時「〇〇ちゃん」と名前にちゃんを付ける人最近多くないですか。
僕の周囲では3割はそうですね。でもそんな風に呼ばれている奥様達を「〇〇」
と呼び捨てで呼んでやります。けっこう喜ばれます。

そういや今日、ワイフが財布落としたんですよ。
親切な人が拾って届けてくれたから良かったのですが…

オリバー | 0000年12月 0日 00:00 |返信

是非ともマスターしてください。
若干めずらしがられると思いますが。

財布出てきましたでしょうか。
その分きっと良い拾いものありますよ。

yone | 0000年12月 0日 00:00 |返信

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