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サルではわからない地上デジタル講座・4

今回はテレビの縦横比、つまりはアスペクト比のことです。

みなさんの家にあるテレビは4:3でしょうか。それとも16:9でしょうか。
ウチで最初に16:9のワイドテレビというのを買ったのは、もう10年も昔になると思いますが、その頃のワイドテレビへの一般的なロマンは「そのうちワイド放送を見られる」というところにありました。
当時は、このワイド放送がどんどん普及するような幻想がはびこっていました。今のうちにワイドを買っておけば、ハイビジョンの放送が一般化した時、MNコンバーターを付ければ、画質はともかく、16:9の放送が受信できるという期待があったのです。MUSEデコーダー内蔵テレビなんて夢のまた夢の時代ですから、「せめて」もの次世代ですね。
ところが、そのMNコンバーターだって安くない、付けてみたって実際はたいしてアナログハイビジョンの放送はやっていない、というような状態でしたから、庶民からはそっぽを向かれ、結局ワイドテレビは単なる横長テレビとなっていたのです。4:3のものをびょ〜んと伸ばすだけ。
実際マイファーストワイドテレビも、ただの一度もワイド放送を映すことなく、手元から離れました。

ちょこっとコーコク

さて、昨今のワイド放送ですが、
いよいよこの地上デジタル放送時代で、ようやく気軽に導入できるようになりました。
ハイビジョン対応のワイドテレビでデジタル放送を見れば、当たり前のようにワイドな放送をやっています。
この「ワイドな放送」とは、旧来の4:3画角に加え、両端にこれまで見ることのなかった範囲の映像が含まれている状態です。

この画像がわかりやすいかと思います。
こちらが4:3の放送です。

こちらが、16:9の放送で同じ場面を見たところです。オシム監督の手のひらや、隣にいる人の頭なども映っていますね。
4:3では映っていないところまで見えるわけです。

このワイド放送、普通のバラエティ番組などでは「あ、広い」程度かもしれませんが、スポーツ中継となるとなかなかの威力を発揮します。
サッカー、野球、格闘技、相撲、どれもありがたいくらいに見通しが良くなるのです。
デジタル放送を導入する快感はここらにあるといってもいいかもしれません。

さて、地上デジタルを導入して、チャンネル合わせてみた時に、みんながみんなワイド放送をやっていてくれればいいのですが、実際はそうでもありません。
当たり前のことですが、制作段階から4:3であるものは4:3の内容しかありませんから、ワイドではやってくれません。過去の遺産はすべてこれに当たりますよね。昔はHDのカメラなんてなかったのですから。また、今現在でも、地方局からのニュースソースや、海外からの映像など、そうそうHDカメラではありません。
地上デジタルをしばらくながめていると、すぐに4:3と16:9が混在していることが分かります。

が、混在といっても、デジタル放送は16:9でやっているわけですから、内容的に4:3であろうと映像情報としては16:9の情報にされているのだなということはすぐに気づかされます。
ここでアップコンバートと行程を踏んでいるわけです。
SD素材を補完して無理矢理HD化しちゃうのです。
なので、キレイというわけではありません。
逆に、ドラマなどはある時期からHDカメラが導入されていて、その素材をSD放送用に両端をカットして放送していたものもありますから、元のHD素材からHD放送向けのものを用意すれば、それはそれはキレイな状態のワイドで見ることができるのです。
要するに、撮影した段階のカメラがどんなだったかという点が重要なのですね。

アプコンの際のアスペクト比調整の手法として一番よくあるのが、4:3だったものの両脇にサイドパネルと呼ばれる画像を追加したりして、16:9にしてしまうわけです。写真で、松田優作の映像の両脇にある白色の部分がサイドパネルです。このサイドパネルは黒いままだったり、デザインされた画像だったり様々ですが、とにかくこういうのを付ければ「 絵としては4:3しか映っていなくても、送信されているのは16:9」という状態ができるわけです。
撮影機材が完備されていくにつれ、純粋なHD放送が増えていくのは明白ですが、昔撮影されたものだって放送には使われるわけですから、このサイドパネルの映像もなくなりはしません。

で、厄介な因子を持っているのは、
HD素材であったものをダウンコンバートする際、両端をカットして4:3にするのではなく、上下に黒い帯をつけて16:9の画角を維持させて4:3化されたものです。
よく映画などを流す時に使われる手段です。上下に黒帯が入るので、映される内容は左右に広範囲でありながらも全体的に「小さい」という状態ですね。
レターボックスと呼ばれています。
結構出回っているこれですが、困ってしまうのは、このSD放送用として作られたレターボックス映像をそのままHD用にアップコンバートして流す場合です。
ただでさえ上下に黒帯が入っているのに、さらに左右にサイドパネルをくっつけてしまうわけですから、本来の16:9のものから一回り小さくなって登場してしまうのです。
こんな状態は「額縁放送」といって嫌われています。
元々のHD素材から編集しなおして流してくれればこんなことは起きませんが、優先度の低いものや、制作サイドの意向などから、依然としてお目にかかれます。先日の「ハウルの動く城」とかも額縁てした。

ちなみにこの写真で見える「建てもの探訪」は、テレビ側も4:3画角で映すようにした状態で、地上波のレタボ放送を見たものなので、サイドパネル情報ははじめからありません。なので、厳密な意味で「額縁放送」とはいいませんが、見た感じはこういうことです。

「建てもの探訪」の場合は、地上デジタルではちゃんとハイビジョン放送されているので、そのまま全面で見ることができます。

さて、とにかくこのアスペクト比まわりは今現在もスッキリしていないのです。
なんとなく、地上デジタル放送は16:9(アプコン含む)というような整理くらいはつけてもよさそな気がしますが、そうとも断言できません。
なにしろ、地上デジタルチューナー内蔵の4:3のテレビが普通に発売されていたり、16:9放送ではありながらもSD品質で流されているものもあったり、よくよく観察すると少し例外が出てきます。なので、現時点では「ほとんどワイドかな」というくらいあいまいに理解しておいた方が、なにかと良いのかもしれません。

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