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坂本金八を考える

金八先生Part6最終回SP見た人いますか?
ホントに金八は桜中を辞めてしまいました。しかも他校へ転任とかでなく、現場を離れて教育委員会にはいるとのことです。
最後の最後「また会う日まで」なんて文字が出てたので必ずしも今回が最後の金八とは言えないのですが、もうそろそろヤメた方がいいかもしれません。
もう武田鉄矢は坂本金八を演じられないのですから。(しかし本人は一生やり続けるみたいなこと言ってた記憶あります)

ちょこっとコーコク

金八がおもしろかったのは誰が何と言おうとPart1、Part2ですよね。
もう激しさが全然違います。
現実の教育問題をテーマにしてるとは言っても実際リアリティなんかありません。先生も熱すぎますし、生徒も熱すぎます。しかしその見る者のハートの沸騰させっぷりは中村雅俊や水谷豊なんかのドラマとは種類が違います。若き日の武田鉄矢は、底から込み上げてくるエネルギーが物凄かったのです。「迫真の演技」なんて陳腐な表現では片づけられないほど情熱的でした。Part2の「卒業式前の暴力」あたりはもう何度見てもおもしろいし感動します。

で、1980〜81年のPart2終了後ちょっと間を置いて1988年にPart3が始まるわけですが、これが驚くほどヒドイ。
最近過去の金八ビデオも見たりしてるのですが、このPart3の時は最悪です。
テーマが「無気力」であることの影響なのか金八までもが無気力に見えます。舞台は桜中学でなく松ヶ崎中学というところで、3Bの副担任として石黒賢があちこちをうろちょろ。おかげで金八が新米教師石黒に諭すというような構図ができてしまい、金八自体が達観領域に突入するのです。こうなると持ち前の「若輩者が言い過ぎるかもしれませんが」的爆発力は影を潜めて、ただのおじさん教師になっていきます。ホントこれがあの金八かと思わせるほどつまらなく、すごく落胆させられました。主題歌「声援」も単調で気持ち悪い歌です。生徒たちもどっかの劇団で仕込まれたお間抜け演技全開でどうにもかわいげありません。実際タレントが多く、元スマップ森、菊池健一郎、V6長野、浅野忠信、萩原聖人など。しかも他シリーズと違い1クールで一旦終わり卒業の時SPをやるという変則スタイルだったので愛着など湧きゃしないのです。しかしながら視聴率に関しての金八パワーは物凄くPart2にヒケを取らない数字を叩き出してます。

が、そのPart3での国民の落胆はPart4でしっかりと表れます。(確か史上最も視聴率が悪いのでは・・・それでも平均19%くらい)
この時は金八を桜中学復帰させ、生徒にかつての「15歳の母」杉田かおる鶴見辰吾の子供を生徒として登場させオールドファンの興味を誘いましたが、内容がへなちょこだったので結局フラストレーションだけが残りました。何よりも気になるのは、「金八先生」ってものをを制作する側の尊大とまで言えそうな気合いが、ブラウン管を通してしっかり伝わったきて、見ていて不快になります。こんな良い子ちゃんドラマは教育テレビでやれって感じです。

そして、もう金八に対する期待はほとんどなくし、やる続ける事自体が墓場泥棒的行為に思えた頃Part5がスタートするのですが、そこでついに演出的に盛り返しを見せます。確かにちょっとおもしろかったのです。3と4で感じてた「現実との極端なズレ」は相変わらずあるにはあるのですが、それが実にドラマ然としたものに修正されています。何よりも、ストーリーと演出が引きつける力がありました。母親を刺してしまう生徒が登場したりして、良く言えば刺激的で悪く言えばグロでした。しかしその異常世界は現実のそれと比べても決してやり過ぎではなく、むしろそれくらいのリアルの中での金八を見たかった人も多かったはずです。
ところが、せっかくストーリーや演出が追いついてきたと思ったら、武田鉄矢がもうダメになっていました。

武田鉄矢は1979年に初めて金八を演じて以降、日常の中でもずっと金八を意識して生きてこなければならなかったのでしょう。何処へ行っても金八節を求められ、臭い説教などを期待され、過ごしていくうちに、より周到に『教師らしさ』を身に付けていったのです。知らず知らずのうちに武田鉄矢は坂本金八に近づこうとしたのです。しかし若き武田鉄矢がつくった坂本金八という人は、実際あまり完璧な人ではありません。結構適当なこと言いますし、いやらしかったりもします。そういう側面もあっての情熱に魅力が生まれてたと思うのです。

武田鉄矢最大の誤解は周囲が無責任に言う武田鉄矢=坂本金八という図式を安易に理解していたことです。この辺り前にもちょっと書いたことなのですが、武田鉄矢の人間としての進化は坂本金八の進化ではないのです。たとえ出発点が近くても別です。武田鉄矢は金八先生というドラマの後にもいろいろ仕事をしているでしょうが、ドラマの中の坂本金八は違います。ずっと地方公務員。

武田鉄矢が自分の分身かのような気持ちで挑んでいるから自分の心境の変化も金八の心境の変化であると許容してしまっているのではないでしょうか。金八が前髪をつくっておでこを隠してしまったりするあたり、それの現れのような気がします。(Part3ちょい前のSPあたりから) 特徴的な容姿すらも放棄している背景には『武田鉄矢自身の髪形が変わったから』以外に理由はありません。

今の金八によく見られるパターン演技があります。生徒たちと話す時は、視線を空(くう)に持っていき、ゆっくりとした口調で、まるで広大な風景でも眺めながら語るように「理想」を説く。まるで仏の如き姿です。そして大人たちと話すときはほとんど「〜ですな」のような翁口調で言葉のニュアンスを濁し、なおかつ偉ぶる。はっきり言って不快です。あの金八がこんな話方をするようになるとはどうしても思えません。もし、あれこそが坂本金八が年齢を重ね辿り着いた姿だと押しつけようとするならば、そんな姿は具現化して欲しくないわけです。

だからこれを機に金八を終了しましょう。
そういう意味からして今回のPart6はとてもいい作品でした。
そしてゴールデンタイムに金八Part1、Part2を再放送するべきです。きっとスゴイ視聴率になりますから。

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