いやいや大晦日は大変でしたね。
ようやくビデオ全部見終わりました。感想も長いですよ。
■イノキボンバイエ2003
とにかくここは酷かったですね。カード、演出、実況、解説、などなど何ひとつ「正解」がありませんでした。文句あげたらキリがありません。
提供されたカードは2種類です。ちょっと名前のある選手とテレビ内での説明によって「凄い選手」化された知らない選手との対決、または、かなり実力差のある「チャレンジにもならない」対決。これはLEGEND譲りとでも言いましょうか、実に日テレっぽいといえば日テレっぽかったですね。やろうとしてるのは、総合格闘技なのか、異種格闘技なのか、K-1なのか、とにかくチグハグです。さらには藤波の引退試合なんか始めちゃったり。とりあえず猪木絡みで成立しそうな出来事を片っ端から集めた感じでした。ちょっとおもしろかったのは、大仁田のいつもの意味不明に訴えに、あまり乗ってこない猪木の姿。噛み合わなかったですね。
それから中継のアナウンサーがひどい。絶叫系であるのは間違いないのですが、なにより気に障るのは発言内容。「パンチがあたった」「倒された」「あぶない」など、全く見たまま。本気でバカなんじゃないかと思わされました。
解説が高山、武蔵、船木だったのは、おそらくプロレス、K-1 、総合格闘技のコメンテーターとして機能することを期待してのことでしょうが、上述したとおり、カード自体が見どころとか、解説とかが不要なものばかりだったので、単に感想を言い合っているだけでした。それから、別スタジオにいる掛布、花田くんの存在の無駄さも見事。何を狙ってのことでしょう。
試合について印象的だったのは、バーネットvsシュルトのパンクラス戦。バーネットは粘り強いですね。不思議な強さです。シュルトとはいえキッチリ仕留めるのは実力の証拠。vsヒョードルとかvsノゲイラとかPRIDE出てくれればおもしろいカード盛りだくさんなんですけどね。
あと、永田vsヒョードルも最高でした。万に一つも勝つ可能性がない試合でしたが、本人とTV側だけの「勝つかも」という期待感がたまりませんね。哀れで。しかし永田のヤラレっぷりは本当に素晴らしい。ミルコにはハイキック、ヒョードルにはパンチ、こうなってくると今度はノゲイラに寝技で鮮やかに秒殺されるというのが見たくなってきました。
猪木の「ダー」しかない中で、興行を成立させようというのですから、こうなることも予想どおりですよね。これに懲りてもう日テレは降りてもらいたいものです。K-1における「JAPAN」や、PRIDE風の「LEGEND」など、他局でやってるのを「アレいいなぁ」というノリで手に入れようとする意地汚さがあります。そのクセに格闘技を放送する為のノウハウが皆無なので、どうもプロレス風味付けですし。この番組しか見なかった人たちに、格闘技というものを誤解されたんじゃないかと不安です。
■Dynamite!!
ここは改めて通しで見てると、本当にいいイベントだったんではないでしょうか。やはりメインが劇的だと締まります。貴乃花、魔裟斗、古賀、畑山、ヒクソン、タイソン。こんな顔触れが集まるというのはこれからもなかなかないでしょう。しかし、一番驚かされたのはスティービーワンダーかな。
気になった試合
○須藤元気vsバター・ビーン (2R、ヒールホールドで須藤)
いやはや須藤が見事勝ってしまいました。序盤からの徹底したヒット&アウェイは効果高く、サイドキックで膝を狙うというのもウマイ。小さい者が大きい者を倒す。この組合せだからこそ得られたエクスタシーという感じですね。しかし、須藤がレスリングシューズを履いて足の裏でキックすることはちょっと気になってしまいました。もちろん合意の上ですし、市販の靴みたいに固いソールってわけではありませんので、構わないのかもしれませんが。
○ボタvs藤本 (判定で藤本)
放送がほとんどされなかったので、よくわかりませんが、結構ローキックで丹念に攻めたようですね。注意を分散させられたからこそパンチ入ったということかな。ボタもダウン取られるのは仕方ないにせよ、結果的に判定までどうにもできなかったというのはマズいですね。早くもオツカレかな。
○フィリョvsTOA(判定でフィリョ)
TOAはもちろん打たれ強いのでしょうが、フィリョの方にも問題ありそうです。ハイキックが当ててるだけという感じで威力が伝わってきません。うまくなって怖さがなくなった典型ですね。見通しは明るくないですね。むしろTOAをもっと練習させれば本当にサップとやる意味がでてくるかもしれません。
○ホーストvsモンターニャ・シウバ (判定でホースト)
シウバがキックボクサーとしてカタチになってきていることと、ホーストが大型選手相手だと輝かないということとが、どちらも想像以上に影響あったようです。でもまだシウバは信用できません。
○中尾芳広vsハハレイシビリ・ダビド (2R、パウンドによるタップアウトで中尾勝利)
期待以上に中尾はよかったですね。スピードあるタックルは下馬評どおりでしたし、パンチ、キックも初心者としては上々。端々にセンスがみえました。レスリングあがりとはいえレスリングに縛られない戦い方ができていたので、この調子で藤田よりもテクニカルな発展をとげてくれればおもしろい存在です。PRIDEがいいなぁ。
○中邑真輔vsイグナショフ (3R TKOでイグナショフ→無効試合)
中邑側の抗議により判定がTKOから無効試合に訂正された試合です。ボクは後から結果が覆るのは好きではないのですが、この試合は見た瞬間からレフリーのストップが早いなぁとは思っていました。確かに通常のK-1の試合だったらあの膝蹴りは瞬間的に「ストップ」の衝撃ですが、それを耐えてみせるのがプロレスラーだったりもします。ミルコvs藤田の時も試合が止まったのはダウンしたからでなく流血だったわけですし。時としてプロレスラーの耐性は普通の格闘家は驚くほど凌駕する場合もあります。
そんなわけで再戦らしいのですが、そんなことよりも見どころだったのは、イグナショフの総合適性。もしかしたらテレビでの謳い文句「第二のミルコ』的煽りはまったく言い過ぎでないかもしれません。今回はタックルはすんなりくらう場面も多かったのですが、幸いその後がない中邑だったのでチャンスは巡りました。今後もっと練習していけば強くなりそうな予感しますね。冷静さと手足の長さ、そして気の強さ、いろいろと利点が見つかります。期待。
○曙vsボブ・サップ (1R KOでサップ)
転がったカエルのような曙のダウンシーンは大晦日のクライマックスに相応しいインパクトがありました。浅い言葉で結論づければ「経験の差」。曙自身が試合後のコメントで「練習したことが全然出せなかった」といってましたが、それは本当でしょう。興奮して突進していただけのようにみえました。ラッシュし続けることは見事ですが、ほとんど顔面のガードもなく、大きく左右のフックを繰り返している感じです。この試合が決定した直後に思った曙の姿はまさにコレだったのですが、その後の練習ぷりから「少しはやるんじやないか」という買い被りが生まれていたようです。逆にボブ・サップはスパーリングでみせていた「キックボクサー」的動作のうち、少なくとも上半身は随分上達したように思いました。この試合の予想でボクは「ボブサップの放つパンチがもっと的確なジャブ、ストレートというのならまだしも…」なんて書いてましたが、まさにフシ穴でした。元々はあのサイズで脅威のスタミナ&スピードで唯一無二の存在だっただけに、まともな所作を身に付けたら、もう一度「怖さ」をみせる段階になるかもしれませんね。
それにしても、曙がスタミナ無視であそこまで打ち続ける戦術とは予想してなかったので、最終ラウンドくらいまでいけるかと思いましたが、あんな風でもし1R残り数秒を曙が耐えてたとしても、2Rはまともに戦えなかったかもしれません。デカさとラッシュで圧倒して勝つにはホーストなんかの方が可能性ありましたね。
気になったのは、TBSのお得意の「ファイターの横顔」的演出。あんなに妻だ娘だと見せられ、パパ頑張るよとばかりに意気込む姿が流れてくると、あの結末には目も当てられません。プロとしてやっていく以上、負けてしまうことだってあるし、テレビの期待に背くことだってあります。肩入れした演出の思い通りに事が運ぶほど格闘技は甘かないです。ワイドショー的目線で選手を消費していくようで気の毒に思いました。これで視聴率だけはよかったもんだから「成功」とされてしまうのが悔しいな。(十字架もやめろ)
しかしまぁ、最初に書いたように、イベントとしての充実はこの夜はDynamite!!が圧倒的でした。これ東京でやってほしかった。
■PRIDE 男祭り
これは観戦しに行っていたわけですが、高田は快調に寒道をすすんでいることだけは確認とれました。
○美濃輪vsジャクソン (2R、レフリーストップでジャクソン)
やはり「現時点」では差があったように思いますが、美濃輪ならきっとジャクソンに勝てる日が来るでしょう。また少し修行期間になるのかな。
○ヒーリングvsジャイアント・シルバ (3R チョークでヒーリング)
開始早々にシルバのレベルはわかったにもかかわらず、3Rまで攻め切れなかったヒーリングに問題が多そうです。シルバはプロレスラーらしく、観客の空気を察知して、持てる力を発揮する努力はしていたと思います。
○桜井“マッハ”速人 vs 高瀬 (判定でマッハ)
え? どうしてテレビで流さない? 意図不明。ヒーリングvsシルバなんか流してる時間あったらこっち流せって感じですよ。中量級屈指の好カードなのに。
内容的には地味でしたが、そんなに凡戦ではなかったのでは。全体的に押していたのはマッハかなってくらいの拮抗した勝負で、次はわかりません。ただ、高瀬はちょっと気になりますね。悪い意味で。
○吉田 vs ホイス (ドロー)
開始直前、ホイスが道着を脱いだのには驚かされました。知る限り「はじめて」です。瞬間的にうまいと思ったのですが、この時点ではこれがこんなに吉田封じにつながるとは思っていませんでした。
試合開始して5分ほどはホイスが足を狙い、吉田が返す、というような前回と似たツバ迫り合いが展開されましたが、それ以降、驚くほどホイスのペースになっていきます。アキレス、ヒール、チョーク、マウント、と吉田は防戦一方。吉田のこれまで戦った中でホイスが一番寝技が上手いと思われるのですが、ふと、「吉田のグランドって、もしかしてこれくらい?」というような思いがよぎります。それくらいの攻め手なし。
1ラウンドはチョークもらいかけてゴングに救われ、2ラウンドはほとんどやられ放題。もし3ラウンドまであったら、もっとちゃんとした結果があったのではないでしょうか。ホイスが望んだ「判定決着なしルール」が、かえってホイスの白星も取り上げてしまいました。しかし、ホイスの「本当の勝者が分かっていただけたと思う」というのは説得力あります。
技術的な原因はいろいろでしょうが、ボクが気になるのは吉田の言い訳がましさ。これはシウバ戦の後にも思いました。負けず嫌いは大事なことですが、ベラベラとイヤミまじりで何かしら言い訳をしていて嫌ですね。万全なら負けないというのは格闘家なら誰しもが思ってることです。プロはその中でやるんでしょ。
○ドン・フライ vs グッドリッチ (1R、KOでグッドリッチ)
まさかまさかのハイキックでした。前回UFCなどでやり合ったのが、7、8年前ですから、ドン・フライのピークが過ぎていることと、グッドリッチのK-1での経験ということと、案外あり得たことだったかもしれません。しかし、やはり劇的で驚きました。ドン・フライのやられっぷりもよかったですね。
グッドリッチ本当に辞めていいんですかね。
○坂田 vs ダニエル・グレイシー (1R、腕ひしぎでダニエル)
小池栄子がしゃべりませんでした。
○近藤 vs スペーヒー (1R、TKOで近藤)
近藤の見事な勝利でした。ドクターストップとはいえ、あれは膝がバッチリ入ってしまった結果です。申し分なく近藤の勝ちですね。スペーヒーもグラウンドではコントロールしかけたのですが、近藤はもうまく脱する技術が身に付いていました。シウバ戦のアピールもあり、これから楽しみです。
○田村 vs ロニー・セフォー (1R、腕ひしぎで田村)
立ち技オンリーのセフォー弟ですから、この結果は当然ですね。つまらないという見方もありますが、PRIDEにおける田村は常に強豪との対戦を強いられてきましたから、1日早いお年玉ということです。勢いを思い出すのも大事ですからね。
○桜庭 vs アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ (判定ノゲイラ)
桜庭は、よくぞ判定まで持ちこたえたといってもいいくらいグロッキーでした。もうパンチもらい過ぎです。素人目にもガードが低く、危なっかしく思えます。今回のように打ち合いになり、パンチもらうだけならまだしも、喰らわせるパンチが備わっていなければ逆転も何もありません。本気でボクシングのトレーニングを行わないのなら、一日も早くプロレス転向した方がいいかもしれません。その為にハッスル1が用意されてるのかもしれませんし。
ホジェリオに関しては、未だ一本勝ちは格下にしかできず、Mr.判定の資質が見え隠れしますが、ボディバランスと打たれ強さは兄譲りのものがあります。打撃も連打はあまりなくコツコツいく感じですが、ローキックなども意外と力ありそうでした。肝心の寝技の技量についてはよくわかりませんが、こういう選手、シウバとやらせてどうなるのかは興味深いですね。
この夜、もし桜庭 vs 田村が実現していたらどうなっていたでしょうね。「この日」と限定して考えれば、きっと田村が勝ったんじゃないでしょうか。それくらい桜庭の打撃技術は深刻な状態です。
さて、高田。
結局この夜はカウントダウンなどしくさったわけですが、それがまたちょっと辛いわけです。
カウント0になったら高田が「お前ら〜」と叫ぶので、「男だぁ」と叫んでくださいという段取り。語呂が悪いというか、座りが悪いというか。ボクはカメラ構えながら、声を発するか発しないか程度、つぶやく感じでやり過ごしたのですが、ここにいた多くの人たちが2004年初めて発した言葉が「男だぁ」だってわけです。つらい。
あと、テレビでの高田の解説をビデオで見てて、また笑わされました。「あぶない」「今の効いたね」「まだ大丈夫」「あ、十字だ十字いきますよ」・・・とまぁ、子供がしゃべってるのかと思うくらい単純な解説です。おそらく、現役選手の頃の試合の真っ最中にも同様の思考でいたに違いないので、なるほど勝てないわけだと今さらながら納得です。たぶん小池栄子の方がいい戦術組み立てられるでしょう。
そんなわけで、長々と書きました。
今度ばかりはビデオ見るだけでも疲れましたよ。
おそらく今後の人生でもこういう大晦日は二度と来ないんじゃないでしょうか。思い出にしましょう。