前夜、途中まで書いて眠気に負けて中断したのですが、丸一日経って、昨日(3/28)やった新日のプロレス興行の情報も伝わってきました。おかげでボクが抱いていた疑念がハッキリとした確信へと変わりました。
やはりK-1はロープのテンションの緩い方へ歩み寄ってるようです。
とりあえずはK-1大会の続きから
■ボブ・サップ vs セス・ペトルゼリ KO?でボブサップの勝ち
開始早々、ペトルゼリの右フックがサップの顎を捕らえます。もう笑ってしまうくらいに見事に。サップあえなくダウン。お得意の「痛いから」のダウンではなく、思わず腰が砕けたという感じのダメージです。「え?」とばかりに目を疑いました。もしかしてこのペトルゼリ、まともか? なんて思いがよぎる頃、持ち前のタフネスでなんとか立ち上がったサップ、今度はダウンさせられた悔しさの表れか、もうガムシャラに突進していきます。と、その攻防もつかの間、今度はペトルゼリが右の腕に何かを感じたようにして戦い続けることを拒み、あれよあれよと膝をつきました。そして、レフリーは試合をストップ。一瞬「脱臼か骨折か」というようにも思えましたが、痛がりながらも動かすことはできています。なんなんでしよう。ボク自身もその状況を把握するのに努めながらテレビを見ていたわけですが、なんとそのままボブサップの勝ち名乗りが始まってしまいます。
ざわつく観客を察知してか、角田が例の小気味よさでリングイン。
そして以下の内容の言葉を押忍調のしゃべりで伝えます。
>「10カウントに不明瞭なところがあったが、セス選手は右腕の二頭筋断裂の疑いであれは間違いなくダウン。その後もファイトを続行できず、ファイトの姿勢を示さなかったため、10カウント負けとなった」
なるほど。
もっともらしいことを言っています。
試合後のペトルゼリの会見でのコメントは、
>けがは、今は問題ない。何が入ったのかわからないが、腕がしびれていうことをきかなくなってしまった。自分としては、カウント内で立って試合を続ける意思は示したつもりだったが、止められてしまって残念だ。
まぁ、ボクらが見たとおりですよね。確かに10カウント内でファイティングポーズはとってませんでした。しかし、それはよくあることでしょ。レフリーが手を添えてポーズとられたりしませんか。特に、頭部へ危険なダメージというわけでもないのですし。しかも、ペトルゼリはドクターに診てもらいたそうな様子すら見せました。それがフェアであるとかは別として、もしこれがミルコだとか、バンナだとかだったら、こんなに風に「はい、ダメ〜」というようにゴング鳴らさないでしょうし、ドクターチェックも容認するでしょう。
サップ劣勢で、気がつけば対戦相手の「不可解な」怪我による試合終了。
スミヤバザル戦と一緒じゃないですか。
解せませんよね。
ボクだけですか。
■武蔵 vs 曙
そして、メイン。
ボクはこの試合の予想の時に「もし曙が丁寧に間合いを…なんて考えがゼロで、どどどどっと仕掛けていくようなら…」と書きました。しかし曙は、まさに間合いを取りにくる試合をしてしまいました。現時点で、それしかないという自分の優位の部分を放棄したわけです。なら、勝てるわけないかって感じもあります。
しかしこの試合、そんな格闘技の目線など吹っ飛ばしてくれるほど、恥知らずな場面を提供してくれます。
2R、武蔵をコーナーに追い込みながら未熟なラッシュを続ける曙。そして、ふいにバランスを崩し、スリップのようにして倒れていく武蔵に対し、曙が謎の暴走を始めます。座り込んだ状態の武蔵に2発、3発と上からのフックを浴びせたのです。
WHAT!?
そして、どういうわけかそれでも試合は終わりにならず、曙厳重注意とともに武蔵へ回復の時間が提供されます。
WHAT!?
あれ、中迫vsサップ、サップvsボンヤスキー、ボタvsアビディ、武蔵vsモンターニャ・シウバとか、すぐに試合終りませんでしたか。回復云々でなくて。ノビた人は別として、アビディにもボンヤスキーにもこんなに回復時間くれてやりましたっけ?
とにかく、試合は続くことになりました。
そして再開の前、レフリーを勤めていた角田が、もはや快感にすらなっているんじやないかと思わせるほどのナルシストぶりで、この状況を場内に解説します。
>「ご覧のとおり、悪質な攻撃によりダメージは大。ドクターの立場からはやらせていいとは言えないが、選手はどうしても続けさせてくれと言っている。ファイターは出来ます、としか言えない。もし、次に危険だと判断したらすぐに試合をストップさせ、反則攻撃の場合は曙選手を失格させます」
WHAT!?
選手の「やりたい」だけで試合できるんだったら、ドクターいらんのじゃないですか?
上の角田セリフ引用文は実はこれでも正確ではありません。
もし、試合を続行して、次の危険な状態がこの反則行為によるダメージであると私が判断した場合は、曙を失格とみなします。という内容でした。間違いなく。
つまり、試合を続けても続けなくても曙の勝ちはあり得ないよ宣言に等しいのです。もし曙が武蔵をKOしたとしても、それはこの反則ダメージが影響していたと解釈されかねませんし、判定までいっても勝ち目ありません。試合的には決まっていました。もはや、武蔵が曙をKOする場面があるかもしれないと、じらすの為だけに続行されたということなのです。しかしそれは実際ありませんでした。
試合後の谷川と角田のコメントはリンク先を読んでください。
そこで感じたものがボクに近いことを祈ります。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200403/27/az02.html
K-1側の対応のことは置いとくとして、そもそも曙が暴走すること自体が説得力ありません。別に曙が横綱だったから品格があるとか言うほど簡単じゃないですが、力士時代を含め、これまでボクらが見ることができた曙からは想像するのが難しいものがあります。ボクは格闘技で「ルールを守れないほど暴走する」というケース自体かなり懐疑的にみています。もしリアル暴走があったとしても、それなりに当人にその素性があるものです。タイソンがホリフィールドの耳を食いちぎったりするのは、まさに素性。キレてコントロール不能になるのはああいう人です。今回の曙のように「取り返しつく」くらいヌルイものは「キレた」の範疇から外にあるのではないでしょうか。それでも例えば、K-1をやる前のスポーツが総合格闘技だったとしたら、少しはクセという解釈だってできます。しかし曙は18歳から相撲をやってます。土俵で一度でも拳で殴ったことありますか。いい大人になってから取り組んだ格闘技、それもK-1の中で、倒れた相手を殴ってはいけないことくらい頭も体も理解できるのではないでしょうか。「それほどまでに興奮するのだよ」みたいのだけでは了解できません。
八百長だとか極端なところまではいいませんが、どんな興行にもある程度のストーリーは存在すると思います。それでも多くの格闘技ファンは、目の前で繰り広げられる戦いそのものに説得力を感じ、そして真実を見極めているのだと思います。しかし今のK-1のシナリオはかなりご都合主義で、その演出家はひどく才能がありません。プロレスの悪い部分だけを抽出し、それでもなおかつリアルを名乗ろうという状態なのです。
この大会の翌日、ボブサップが新日の興行で佐々木健介に勝ちIWGP王者となりました。そして、その場でこないだ入ったばかりの魔界倶楽部を脱退宣言。何が何やら。そんな中、興味深いのは、会場にまんまと足を運んだK-1イベントプロデューサーの谷川が言ったセリフです。
>K−1ファイターがIWGP(王座)を取るとは、サップが出るまでは想像できなかった。今日は試合内容も良かった。サップが「K−1がナンバーワン」だと言ったが、K−1が世界一の団体だという自信がある。
馬脚をあらわしたな。
やっぱり谷川はK-1を団体だと認識してたのです。
ボクはずっとカテゴリーだと思っていたのに。いや、実際は興行団体ではありますが、志としてはK-1のリングは「場」であり、世界の強豪が共通して競う「カテゴリー」であるべきだったんじゃないでしょうか。
そのK-1をコントロールしている谷川は、新日の試合を「内容も良かった」などと評論するくらいプロレス好きなわけですね。そんな気がしてましたが。
今後は新日との全面対抗戦に発展するとかしないとか。
同じ器で戦うのなら、同等のスタンスだということなんですね。これからは安田とイグナショフのオープンフィンガーグローブの意味も同じであるということになるのでしょうか。
K-1に落ちた黒いインク、もう落ちないな。