■第8作「男はつらいよ 寅次郎恋歌」
8月27日(土) PM9:00〜
帝釈天近くの喫茶店「ローク」を営む子持ちの未亡人貴子(池内淳子)がマドンナです。この喫茶店は当時は実在していて、よくスタッフの打ち合わせに使われていたところだとか。マドンナの苗字「六波羅」も本当のご店主のお名前です。
今回寅さんは、マドンナを誰かに奪われるのではなく、金銭的な無力感や、生き方の違いから、身を引いていく感じです。これはシリーズ初の展開で、「住む世界が違う」と悟っていく様が見事です。弾むボールが段々と弱まっていくような感じでしょうか。誰しもが「なんとなくわかる」という境地に至ると思います。
ほかにも本作は全体的に非常に見どころ満載です。
冒頭の旅一座との再会で、一座の華・大空小百合に小遣いを渡すのですが、大目に渡してしまうシーン、博の実家の葬式の集合写真を撮る時「はい、笑って〜」と言って怒られるシーン、お金の入ってない財布をさくらに渡して勘定を持とうとするシーン、など後々からも語り草とされるくらい印象的なシーンが頻発します。
あと、酔っぱらってさくらに歌わせるシーンでも、「かあさんの歌」に「カラスの歌」をかぶせてフザける寅さんが、次第に正気になる場面も見どころのひとつです。
そして何より、本作が初代おいちゃん最後の作品というのも忘れてなりません。おいちゃん役の森川信はこの作品の劇場公開3ヶ月後に亡くなっています。今となっては、3代目おいちやんの方が馴染み深いのですが、当時は寅さん映画の中でも、「おもしろ」を発射するのは、渥美清と森川信のツートップ体制だった言っていいくらいです。最後の競演を堪能ください。
必見度 ★★★★★